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清水光行先生
清水 光行
東京慈恵会医科大学 教授
循環器内科
専門: 虚血性心疾患、心不全、高血圧症
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今回のヘルスチェック
高血圧Q&A

Q1: 高血圧症には自覚症状はないのですか?
  A1: 高血圧症には初め自覚症状はありません。このため、高血圧であっても見逃されがちです。そして放置していると、知らず知らずの間に脳・心臓・腎臓・血管が侵され、それらの臓器障害による症状が出現します。このため、高血圧症はサイレントキラー(物言わぬ殺人者)とも呼ばれています。健康診断や日頃の生活のなかで、機会があれば血圧を測定してみましょう。早く高血圧症を発見することによって臓器障害の予防が可能となります。いったん臓器障害が出現すると、元に戻すことは非常に困難です。高血圧症の治療は、悪い生活習慣を是正したり、病院へ通ったり、服薬したりしなければなりません。自覚症状がないので、これらを根気良くするのは大変なことです。しかし、この努力は必ず報われます。  

Q2: 血圧は測定するたびに違いますが心配ないですか?
  A2: 心配ありません。身体活動や精神活動にすぐに対応できるよう血圧は常に変動しています。むしろ、一定に固定されていたり、活動しても変化しないのは異常です。続けて血圧を測ると通常後の血圧が低くなります。高血圧による障害は、常に高い血圧が続くことで出現します。血圧が高い低いで一喜一憂することはありません。ゆっくり血圧コントロールしましょう。  

Q3: 塩分を過剰に摂取するとなぜ血圧が上がるのでしょうか?
  A3: 血圧は血管内の圧力です。血管をタイヤに置き換えると、空気(血液)が多くてタイヤ(血管)が細いとタイヤの内圧(血圧)は上がります。塩分は血管内に水分を保持します。また、塩分は血管の細胞を収縮して血管が細くなります。この二つの理由で塩分は血圧を上げてしまいます。  

Q4: 減塩食を続ける工夫はありますか?
  A4: 大事なことは、減塩が血圧を良い状態に保つのにとても有効であることを理解して、減塩実行のモチベーションを高めることです。まずはじめは、いわゆる塩味のものを避けてみましょう。また、塩以外のスパイスで味付けして食事を楽しみましょう。  

Q5: リンゴやバナナは血圧に良いのですか?
  A5: 野菜や果物にはカリウムがたくさん含まれています。このカリウムを多く取ると、前の質問にあった塩分(ナトリウム)を排泄することになり、結果的に血圧を下げます。  

Q6: おしっこの我慢や便秘は良くないでしょうか?
  A6: おしっこを我慢すると血圧が高くなります。そして排尿すると一気に血圧が低下します。時には意識がなくなることもあり、これを排尿失神と呼びます。特に飲酒時は、血管が拡張(顔が赤くなるのはそのためです)しており、すぐに血圧が上がらないので、まめにトイレに行きましょう。 また、便秘については、そのものでなく排便時に力むことによって、血圧はいっきに上昇します。よって、高血圧の人は排便時に特に注意しなければいけません。また、洋式トイレは和式に比べて安全に排便できます。  

Q7: 高血圧症は遺伝しますか?
  A7: 高血圧症は、遺伝的素因に環境因子がかかわって発症します。遺伝的素因、すなわち両親とも高血圧症だと約60%、片親だけの場合は約30%の確率で高血圧症になります。しかし、環境因子すなわち悪い生活習慣を是正することによって、発症を抑えたり軽くすることができます。血圧を良好にコントロールすることによって高血圧を克服できますので、取り組みがいのある疾患です。  

Q8: 運動する血圧が高くなりますが心配ないですか?
  A8: 血圧は、常に変動していることを前のご質問で説明しました。運動すると、心臓から身体が必要とする血液が送り出だされ、血圧が上昇します。とくに、高血圧以外の病気や高血圧の合併症が進んでなければ、このような血圧上昇は心配ありません。むしろ定期的な運動は、身体の代謝を改善して血圧を下降させるので積極的に行いましょう。しかし、病気によっては運動によって悪化するものがありますので、始める前には主治医に相談してください。特に狭心症や心臓病を疑われている人は注意しましょう。  

Q9: 冬の寒さは良くないですか?
  A9: 寒いと身体から熱が奪われないように血管が収縮して血圧は上昇します。このため、冬は血圧が高めになります。寒くなりかけや寒暖の差が激しい時は血圧がアップダウンします。また、冷たい水で手洗いするだけでも血圧が上昇します。このような時期は心筋梗塞や脳卒中が起こりやすいので注意が必要です。  

Q10: 夜更かしは良くないですか?
  A10: もちろんです。夜更かしや、一日のリズムを狂わすと、血圧をコントロールしている自律神経やホルモンのバランスが崩れて血圧が上昇します。明日に疲れを残さないように7〜8時間は睡眠をとりましょう。  

Q11: 女性は高血圧症になる人が少ないのでしょうか?
  A11: 一般的に女性の血圧は、男性に比べて低いことが知られています。また、心筋梗塞などの心血管合併症が男性より少ないです。これは女性ホルモンであるエストロゲンの作用と考えられています。このため閉経後は男性と同様の血圧になります。  

Q12: 高血圧症は治らないのでしょうか?
  薬も一旦はじめたらやめられないのでしょうか?
  A12: 残念ながら治りません。しかし、正常に血圧をコントロールして合併症を予防することはできます。高血圧症の治療は、まず悪い生活習慣を是正することから始めます。それでも血圧をコントロールできないときには降圧薬を使用します。しかし、薬を飲んでも高血圧症は根治できません。毎日規則的に服薬することによって血圧を良好にコントロールします。このように毎日服薬しなければならないし、副作用があるときもありますので厄介です。しかし、服薬することで血圧が正常に保たれると快適な生活が約束されます。すなわち、服薬することに価値があると判断した時に薬を使用します。最近の薬は、副作用が非常に少なくなってきています。服薬して不都合が起こったら勝手に中止しないで、主治医に相談して自分に最もあった薬を見つけてもらいましょう。一旦服薬を始めても、悪い生活習慣が是正できたり、血圧が良好に保たれれば服薬を中止できるときもあります。しかし、勝手に中止、服薬を繰り返して血圧が上がったり下がったりするのは、血圧を放置しているより身体に害がありますので決してしてはいけません。  


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