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発見!ご当地「油」紀行

ところ変われば、食文化も変わります。
ここでは、油を使用したご当地の特徴ある料理や、
レシピなどを紹介します。

第12回

沖縄県 フーチャンプルー

 
食料の保存がむずかしい環境で
生まれ育った県民食

那覇市首里にある沖縄料理店。沖縄料理に合う県内有数の泡盛も取り揃えている。 1年を通じて暖かい沖縄では、食材が傷みやすく、生ものをあまり食べません。
そのため、揚げる、炒める、煮るなど、火を通す調理法を多く用います。 沖縄の代表的な調理法であるチャンプルーもその1つです。

那覇市首里にある沖縄料理店。沖縄料理に合う県内有数の泡盛も取り揃えている。
 
溶けにくく、型くずれしない
車麩を使ったチャンプルー


チャンプルーとは、野菜と豆腐の炒めもののこと。その伝来は、インドネシアからといわれています。
当時、琉球王朝では、中国、朝鮮、東南アジアなどと盛んに貿易を行っていました。そのなかで、海外の食文化も沖縄に伝えられたのだそうです。「チャンプルー」という言葉も、語源は、インドネシア語の「混ぜ合わせる」という意味の「チャンポラ」からです。
沖縄の食文化は、まさに「チャンプルー文化」といってもいいでしょう。おなじみのゴーヤチャンプルーのほか、ソーメン、もやし、からし菜など、さまざまなチャンプルー料理が存在します。

ニラやニンジンなどの野菜をたっぷり使用し、色鮮やかに仕上がったフーチャンプルー。



なかでも珍しいのは、麩を使ったフーチャンプルー。
麩には、「揚げ麩」、「生麩」、「焼き麩」などの種類がありますが、沖縄では「焼き麩」の一種である「車麩」をチャンプルーにします。お吸い物などに入れる麩と比べて、溶けにくく、形崩れしにくいため、油炒めにすることができます。調理すると、もちもちとした食感が楽しめます。

※豆腐が入らないフーチャンプルーは、だしを入れて炒め煮にする調理法を「イリチー」と分類することから、フーイリチーというのが正確な呼び名ですが、一般的にフーチャンプルーと呼ばれています。


小麦粉のでんぷんをよく取り除くのが
沖縄の麩の特徴

現在、沖縄には車麩を作っている工場が7つあります。そのひとつで、昔ながらの製法にこだわる大手メーカーを訪ねました。そこで、麩ができあがるまでの工程を見学させてもらい、担当者にお話を伺いました。

小麦粉を洗う水槽。1tの小麦粉から抽出できるグルテンは500kg。8tもの水を入れ替えてでんぷんを取り除きます。

【 工程1 】
麩の原料は小麦粉(強力粉)。これを水で洗って、でんぷんを取り除き、グルテンを抽出します。
この作業が車麩の独特の食感を生み出すそうで、「一般的な麩が水に溶けるのは、でんぷんが残っているからです。
この工場では、沖縄の人々が好む、歯ごたえのある麩を作るため、小麦粉を何度も水で洗い、可能な限りでんぷんを除いています」とのことでした。小麦粉を洗う水槽。1tの小麦粉から抽出できるグルテンは500kg。8tもの水を入れ替えてでんぷんを取り除きます。

【 工程2 】
抽出したグルテンはマイナス20度くらいで3日ほど冷凍し、解凍してから使用します。
このような作業を行う理由を聞くと、「抽出したてのグルテンをそのまま使うと、水分量にムラができてしまいますが、冷凍・解凍をする ことにより、すべての水分が出て、品質を一定にすることができます」とのことでした。

生地を均一に巻きつけていく作業には、熟練の技が必要。うまくできるようになるまで、3,4年はかかります。

【 工程3 】
解凍したグルテンに小麦粉を加えて練り、1時間半ほど寝かせて発酵させます。寝かせた生地は一度プレスし、扱いやすいように棒状の生地に裁断します。これをサラダ油を塗ったパイプに均一に巻きつけていきます。生地を均一に巻きつけていく作業には、熟練の技が必要。うまくできるようになるまで、3,4年はかかります。

【 工程4 】
パイプにまきつけられた麩の生地を、約200〜230度の赤外線バーナーの窯の中で回転させながら15分焼きます。

【 工程5 】
焼きあがった車麩を、カットし、袋に詰めてできあがりです。



卵はしっかりと染み込ませ
だしは染み込ませすぎないように

麩は、卵をしっかりと染み込ませ、ふっくらと焼き、最後に混ぜ合わせるのがコツです。

本場のフーチャンプルーを作っていただくため、那覇市の食堂に伺いました。 フーチャンプルーは、まず、麩を食べやすいサイズに切ります。そして、塩を加えた卵に2〜3分つけ、しっかりと染み込ませます。この際、乾燥麩を包丁で切っても良いのですが、いったん水で戻し、軽く絞ってから手でちぎると、味が染み込みやすくなります。 麩以外の材料は、ニラ、ニンジン、ネギ、モヤシなど。そして、忘れてはいけないのが豚肉です。豚は、沖縄でもっともよく食される肉。足(テビチ)、耳(ミミガー)、顔の皮(チラガー)まで、余すところなく頂きます。

材料を切りそろえたら、フライパンで豚肉を軽く炒めます。ここに、野菜を入れて、カツオだしを加え、豚肉と野菜に火を通します。そして、もう一つのフライパンで、焼き色がつくまで麩を炒めます。これを豚肉と野菜を炒めているフライパンに加え、手早く混ぜ合わせて、調味料で味を整え完成です。このように、手早く簡単に作れるのが、チャンプルーの特徴です。

美味しく作るためには、このようにフライパンを2つ使うのがポイントです。今回訪れた那覇市の食堂でも、ゴーヤやソーメンのチャンプルーはフライパン1つで作りますが、フーチャンプルーは2つ。理由は、麩を一緒に炒めてしまうと、だしを吸い過ぎてしまうためです。

台風の多い沖縄で
保存がきく麩は便利な食材

調理前の「車麩」は、直径6センチ、長さ30センチ以上もあります。


また、フーチャンプルーの良い点として、麩の保存が利くので、台風が多い沖縄の家庭料理に向いているということがあります。
沖縄では、強い台風などの日は買い物に行けません。そんな時に便利なのがフーチャンプルー。車麩があれば、冷蔵庫の野菜と合わせて、手軽に、栄養バランスの良い料理ができます。ほとんどの自宅に、麩の買い置きがあるそうです。
フーチャンプルーは、チャンプルー文化と、沖縄特有の生活環境が組み合わさって生まれた、沖縄の県民食なのです。

この“フーチャンプルー”、ご家庭でも簡単に作ることができます。もちもちとした独特の麩の食感をお楽しみいただけます。
ご当地の味を是非、ご家庭で試してみてはいかがでしょう。

レシピはこちらです。⇒ フーチャンプルーレシピ

(10.7.7)

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