日清オイリオHOME > 生活科学研究グループ > 秋田県(由利本荘市) なんばこ/発見!ご当地「油」紀行

日清オイリオは、食生活を中心とした社会の動きをウォッチしています。

生活科学研究グループ 食と生活情報レポート 発見!ご当地「油」紀行 学会発表情報 生活科学研究グループとは?

発見!ご当地「油」紀行

ところ変われば、食文化も変わります。
ここでは、油を使用したご当地の特徴ある料理や、
レシピなどを紹介します。

第21回

秋田県(由利本荘市) なんばこ

 
かたち可愛く、味懐かしく
鳥海山山麓に伝わる米粉のお菓子
秋田県南西部に位置する由利本荘市。子吉川流域に開けた広い米作地帯で、西は日本海に面し、南には出羽富士とも庄内富士とも呼ばれる標高2236mの鳥海山がそびえます。気候は県内でもっとも温暖。海岸地帯は冬でも積雪量が少なく、桜前線も由利から北上するといわれます。

古くから米作が盛んで生産量も多く、“本荘米” と呼ばれる良質な米を生産してきました。米が良質なので餅や雑炊、だんごなど米を利用した食べものもバリエーション豊富です。そのひとつに“なんばこ”と呼ばれるお菓子があります。作られているのは由利本荘市の西目町。さっそく訪ねてみました。
  (写真左:西目町鳥海山)
由利本荘は鳥海山の麓に広がる市。稲の刈り入れの終わった向こうに鳥海山がそびえます。
(写真右:本荘公園)
本荘公園は本荘藩2万石の居城跡。大正時代に史跡公園として整備されました。季節には桜まつりやツツジまつりで賑わいます。

西目町に昔から伝わる“なんばこ”
かつては各家庭で作っていたとも


道の駅にしめで販売されているなんばこ。“西目のお母さんの手づく作り”のPOPカードが添えられています。
細長く小指のような形をした“なんばこ”。その名の由来は“南蛮(唐辛子)”からきています。形が南蛮のよう。それに可愛いもの・小さいものを表す秋田言葉の“こ”がついて“なんばこ”となりました。“なんばんこ”ともいいます。 なんばこは西目町では知らぬ人がいないというほど地元に溶けこんだ食べもので、自宅で作る人もいるといいます。その正体は米粉を練って揚げたお菓子なのです。

地元密着のお菓子ですが、その始まりについて聞くと「子どものころから食べていました。でも発祥を調べてもよく分からないのです」と由利本荘市西目総合支所産業課の方。そこで一冊の資料を探していただきました。香ばしい味のするなんばこ、誰が考えたものか?又発祥地はどこなんだろうか?「先祖なばわがらね、昔から伝わったものでな」(始まりをたどっても分かりません。昔から伝わってきたものなのです-西目町教育委員会発行『21世紀への提言集』より)。なんばこの作り方はおばあちゃんから教わったとか、母親から聞いたという話です。このようなことからなんばこは特別な食べものではなく、西目町で日常ごく自然に伝承されてきたことがうかがい知れます。

国道7号沿いに立つ“道の駅にしめ”ではなんばこを販売しています。東京に住む人に懐かしい地元の味を届ける、また県外の人は西目の素朴な郷土のお菓子として買っていくといいます。口に運べば硬く歯応え十分。「昔はもっと硬くて、口に入れてしゃぶっていて、柔らかくしてから食べました」ともいいます。
ではこのなんばこ、どのようにして作られているのでしょう? 作っている現場を訪ねました。

なんばこ作りは毎週金曜日
西目のお母さんたちが集まります


ふるった米粉に重曹・塩・ゴマ・マーガリン・卵液を加え、よく練って生地にします
“道の駅にしめ”から車で3、4分のところで、なんばこを作っています。なんばこを作るのは西目町ひるがお会という主婦8人の組織。摘んでも摘んでも絶えない花、ひるがおのイメージから“ひるがお会”と名付けたそうです。なんばこを作り、販売を始めたのが平成10年のこと。製造は毎週金曜日の週1回で、1週間で販売できる量を作るそうです。
親指大に分けた生地を南蛮の形に作っていきます。

なんばこの生地は米粉。うるち米の二番米(いわゆるクズ米、検査規格外のサイズの米)を使います。もとは農家の古米を使ったといい、米の消費拡大の一手段であったともいいます。しかし、「古米の方がさっくりとした仕上がりになるんですね」とひるがお会の方。「使うお米はひとめぼれなんです。ここがこだわり」とも。
まずは製粉した米粉をていねいにふるいます。そこに重曹と塩とゴマを加えます。さらに溶かしたマーガリン、砂糖を加え、卵に水を入れた卵液を加えて、米粉を練っていきます。ていねいに練り込んで生地がまとまったら大きなソフトボール大に小分けに。このあと生地を親指大に分け、いよいよ南蛮の形に成型していきます。ここまですべて手作り。その後揚げるのですが、揚げるのもフライヤーを使わず手作業です。

「製品になるまで1年くらいかかりましたね。味のバランスはもちろんですが、揚げると砕けてしまったり。試行錯誤をして、ようやくレシピが出来上がったんです。」
揚げる温度は中温。油の温度が高ければ中まで火が入らず表面が焦げてしまいます。低ければカラリと揚がりません。目を離さず油と向き合い、なんばこが揚げ上がりました。「一つひとつに揚げたひび割れが出来てるでしょ。これがおいしいなんばこの証し。」 ひるがお会のお母さんたちの技は熟達した職人の技でした。
西目町の手作りお菓子“なんばこ” これからも故郷の味として残っていくことでしょう。

揚げ油の温度は中温。ですが生地の状態、気候などによって状態を見ながら揚げます。フライヤーではこの調整が出来ないとのこと。 キツネ色にこんがりと揚がったなんばこ。表面のひび割れがおいしい証し。 商品はごまとしその2種類。しそはゴマの代わりに、赤しその葉を入れて作っています。

(12.02.13)

●観光のお問合せは
由利本荘市商工観光部 電話0184-24-6376
http://www.city.yurihonjo.akita.jp/
●価格
ごま・しそとも各1袋(17〜18本入) 210円
●由利本荘市へのACCESS
電車:JR羽越本線・由利高原鉄道羽後本荘駅下車
車:由利本荘市中心街まで日本海東北自動車道岩城ICから国道7号・107号経由で約22km。道の駅にしめまでは同ICから国道7号で約28km
発見!ご当地「油」紀行TOPへ