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発見!ご当地「油」紀行

ところ変われば、食文化も変わります。
ここでは、油を使用したご当地の特徴ある料理や、
レシピなどを紹介します。

第23回

福岡県(大川市)エツの唐揚げ

 
初夏の筑後川に銀鱗が踊る
幻の魚“エツ”を唐揚げで
福岡県の南部、九州最大の河川である筑後川が有明海に注ぐ河口付近に位置する大川市。日本随一の家具生産の街として知られ、市中には家具製作所が多く見受けられます。筑後川河岸に足を運べば、川に架かる巨大な鉄の建造物“筑後川昇開橋”がどっしりとした姿を現します。かつては、筑後川に大型船が往来するとき、橋の中央部分が上がり船を通す可動橋でしたが、現在はその役割を終え、国指定の重要文化財として勇姿を残しています。
そして大川市のもう一つの名物が幻の魚といわれる“エツ”です。
大川市内 大川市の目抜き通りでは「ようこそ日本一の家具産地、大川へ。」のサインボードが迎えます。 大川市の目抜き通りでは「ようこそ日本一の家具産地、大川へ。」のサインボードが迎えます。   筑後川昇開橋 筑後川昇開橋。中央部は高さ30mの2つの鉄塔にはさまれ、大型船が航行する時は約23mの高さまで上りました。現在は遊歩道として開放されており、時刻を定めて中央部の開橋が行われます。

初夏の風とともに筑後川を上る“エツ”
この地でしか味わえない魚とは!?


えつ漁 5〜7月に行われるエツ漁。許可を受けた漁師のみが行える漁で、流し刺し網でエツを捕らえます。
“エツ”とはカタクチイワシ科の魚で、体長が20〜30cmになります。日本で生息するのは有明海だけ。もとは海水魚のこのエツですが、5月から7月になると産卵のため筑後川を上ってきます。筑後川は上流から大川市にさしかかるところで2筋に分かれますが、エツが上るのはこの辺りまでです。また大変短命なうえ鮮度が命という魚なので、限られた季節に限られた地域でしか味わうことができません。こうしたことからエツは“幻の魚”とか“薄命の魚”と呼ばれます。筑後川昇開橋のたもとには“えつ伝承碑”が建てられており、「日本では、筑後川と有明海にだけ生息する珍魚」と解説されています。

「昔、筑後川の渡し場で1人の若い船頭が、みすぼらしい旅の僧を無賃で渡してあげたところ、僧はお礼にと川端の葦の葉を一枚取り川に流した。すると葦の葉は銀色の透き通るような美しい魚に変わった。旅の僧は弘法大師だったのです。これがエツにまつわる有名な伝説なんですよ」と明治初期創業という老舗料亭の女将さん。毎年5月になると大川市辺りの筑後川には朝早くからエツ漁の船が繰り出します。初夏の筑後川の風物詩です。
エツは、刺身、煮付け、焼きもの、姿寿司、洗いなど様々に料理されます。またイワシに比べて味が淡白なので油との相性がよく、唐揚げや南蛮漬けは人気のひと品です。「子どものころはホントによく食べました。刺身が丼で山盛りになって出てくるんです。またエツかぁ、なんて言ったものです。」と大川市商業観光係の方。しかし現在は高級魚となってしまったともおっしゃいます。

まずは細かく“骨切り”を
中温の油でからりと揚げます


骨切りをする 片面におよそ100筋もの包丁目を入れて骨切り。大切な下ごしらえです。
地元の人々が誇りにする幻の魚“エツ”を、老舗料亭で唐揚げでいただきました。銀鱗美しく細身の体のエツは大変枝骨の多い魚です。エツを水洗いし、ウロコを取り、えらと腹わたを取り除きます。包丁で片身に80から100くらい切れ目を入れるのが大切な下ごしらえ。ハモの骨切りと同様で、枝骨が口に当たらず美味しくいただくための仕事なのです。

骨切りをしたあと両面に軽く塩・コショウをします。小麦粉を薄くはたき中温の油へ。じっくりと4、5分揚げて、さらに二度揚げします。こうすると頭までパリパリといただけます。揚がったエツは細いヒレがピンと舞い、見た目も優雅な仕上がり。また、刺身などにした後の中骨はこれも唐揚げにしていただきます。「エツは捨てるところのない魚なんです」と女将さん。身離れもよく味は淡白で軽やか。エツの唐揚げは筑後川の夏の颯爽としたひと品でした。

エツ 身体が細く鱗が銀色に輝く夏の魚エツ。 揚げる 揚げ油の温度は中温。ゆっくりと時間をかけて揚げていきます。 揚げる 揚げ油の温度は中温。ゆっくりと時間をかけて揚げていきます。 エツの唐揚げ こんがりと揚がったエツ。頭からがぶりと丸ごといただけます。

(12.6.19)

●問合せは
大川市インテリア課商業観光係 電話0944-85-5584(直通)
http://www.city.okawa.fukuoka.jp/
●価格
エツの唐揚げ(一皿)800円〜 エツのコース料理3000円〜1万3000円
●大川市へのACCESS
電車:西鉄柳川駅から西鉄バス大川橋または佐賀バスセンター行きで約20分、中原高木病院前または大川橋下車
車:九州自動車道東脊振ICから国道385号経由で約16km
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