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発見!ご当地「油」紀行

ところ変われば、食文化も変わります。
ここでは、油を使用したご当地の特徴ある料理や、
レシピなどを紹介します。

第29回

福井県 油揚げ

 
家庭の中にしっかりと息づく
おばあちゃんの味
「越山若水」(えつざんじゃくすい)と呼ばれる、越前(北部)の緑豊かな山々と、若狭(南部)の清らかな海に代表される美しい地形が人々を魅了する福井県。近年では、生活・家族、労働・企業、安全・安心、医療・健康部門を指数化した「47都道府県幸福度ランキング」で1位を獲得し、「日本でいちばん幸せな県民」のライフスタイルが注目されています。そんな福井県には、他にも「日本一」のものがあります。それは、「油揚げ、がんもどき」の消費(総務省「家計調査」)。日本全国で食べられているものですが、消費量は全国平均のおよそ2倍。その秘密を探りに、早速訪ねてみました。
日本でも屈指の透明度を誇る越前海岸の海岸線。一年を通して新鮮な魚介類が楽しめ、特に冬場の「越前ガニ」は有名です。   国内随一の恐竜化石の産地である福井県。化石の大半は北部の勝山市で出土し、県立の恐竜博物館は研究の拠点となっています。


消費量の多さの秘密は
仏教と女性の社会進出?!


福井で「油揚げ」といえば、かなり大判の「厚揚げ」のことを指します。「福井県は仏教王国なんです。特に、浄土真宗と禅宗の信仰が強くて、食文化には仏教と密接な関わりがあるんですよ」と、福井の食に詳しい地元の調理専門学校の理事長。浄土真宗の最大の催事である「報恩講」の昼食には必ず油揚げ料理が添えられます。また、永平寺の修行僧が食べる「精進料理」では、油揚げをはじめとする大豆食品は、貴重なタンパク源であるそうです。もともとは仏教と密接に絡んでいた油揚げは、いつしか一般家庭の日常的な食として根付いていったそうです。
そして、伝統的な料理が脈々と受け継がれているのには、意外な理由がありました。「福井県は、日本で1番共働き率の高い県なんです。その上、3世代の同居率も高いので、家庭で料理を作るのはおばあちゃんのことが多いんですよ。だから、福井の食は昔からあまり変わってないのかもしれませんね(笑)」と理事長。福井は全国トップクラスの長寿県でもあります。伝統的でヘルシーな食卓を家族そろって囲むことが、長寿の下支えになっているのかもしれません。煮て、揚げて、焼いて、炒めて、炊いて・・・、「名もない料理」として、当然のように毎日の食卓に登場するのが、福井の油揚げなのです。

全国に1万5千もの寺院を擁する曹洞宗の大本山・永平寺。永平寺の精進料理では野菜、穀物も命あるものとして、大切に扱っています。 各家庭で様々な食べ方がされている油揚げ。大きな揚げを半分にスライスし、甘辛く煮つけご飯にのせた、いなり丼。 あらゆる料理に使われる油揚げ。「油揚げカレー」は、学校給食でも出されているそ うです。


揚げ立ては外はパリッ、中はジューシー
薬味と醤油をたっぷりと


豆乳ににがりを入れた後、生地を型に入れていきます。工程としては木綿豆腐と一緒ですが、それぞれの製品によって、大豆や水、にがりの配合が異なります。
永平寺にほど近い、油揚げの製造所を訪ねてみました。こちらの製造所では、「油揚げ(厚揚げ)」の他に厚さの違う「中揚げ」「うす揚げ」も作っています。「この3種類は、ただ単に厚さだけではなく、生地の配合も違うんですよ」とは製造所の工場長。
大豆を霊峰白山から湧き出た水で漬け込み、すり潰した後に加熱し、おからと豆乳に分けます。豆乳ににがりを加えたら型に入れ、プレスして水を抜きます。適当な大きさにカットして、一晩寝かせたら菜種油で5分ほど揚げて出来上がりです。
フライヤーいっぱいに、油揚げの生地を入れ、こんがりとキツネ色になるまで揚げていきます。
こちらの製造所では、揚げ立ての油揚げを直売しており、その場でいただくことができます。「大根おろしと、しょうが、ねぎをのせたら、醤油をたっぷりとかけて、揚げの表面に箸で穴を開けて、おろし醤油を染み込ませると美味しいよ」と製造所の統括部長。好みの食べ方は人によって様々。辛子マヨネーズや、一味唐辛子をかけるのが好きな人もいるそうです。熱々の揚げたてを一口頬張れば、外はパリッ、中はジューシーでふんわり、大豆の香りがほんのりと広がり、一般的な油揚げの概念を覆してしまうような満足感が得られます。
 
揚げ立ての油揚げ。大判の油揚げは、ボリューム満点の一品です。
福井の大きな油揚げは、それぞれの家庭の中に根付いた「おばあちゃんの味」として、日本でいちばん幸せな県民の胃袋をしっかりと支えていました。

(13.06.21)

●価格
 100円〜300円程度
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