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発見!ご当地「油」紀行

ところ変われば、食文化も変わります。
ここでは、油を使用したご当地の特徴ある料理や、
レシピなどを紹介します。

第30回

岩手県西和賀町 ビスケットの天ぷら

 
雪深い山村で 生活の知恵として
生まれた郷土食
JR北上線のほっとゆだ駅。駅の中に温泉がある、全国的にも珍しい駅です。
岩手県の中西部に位置する西和賀町。三方を奥羽山脈の1000m級の山々に囲まれ、豊かな水をたたえる和賀川が流れる大自然の町です。冬は2mを超える積雪、初夏は新緑の眩しさ、そして秋は一面の紅葉と、人々は四季折々の美しさを感じながら生活しています。また、町の南部に湯田温泉峡県立自然公園を擁し、和賀川沿いに点在する温泉が訪れる人々を癒しています。そんな西和賀町に「ビスケットの天ぷら」という一瞬聞き返してしまうような名前のおやつがあると聞き、早速訪ねてみました。
JR北上線のほっとゆだ駅。駅の中に温泉がある、全国的にも珍しい駅です。
湯田ダム(錦秋湖)への砂の流入をせき止めるために作られた貯砂ダム。毎年7月〜10月に開放され、大量の水が流れる「水のカーテン」の中を歩くことができます。


日常のおやつ 冠婚葬祭の料理から
町のPR役的存在に


町の非公認キャラクター「ビスケットの天ぷらっち」、公認キャラクター「カタクリンコちゃん」もパッケージに使われています。
ビスケットの天ぷらとは、その名の通り、ビスケットに衣をつけて揚げた西和賀町で昔から受け継がれてきた郷土食のことです。雪深い西和賀町では、冬場に買い物に行くのは大変。そこで保存のきくビスケットに衣をつけて揚げ、腹持ちをよくしたのが始まりだといわれています。「今でもこの辺りは、法事やお葬式の時は、親族や近所の人が集まってお手伝いをするんですが、その時は必ずビスケットの天ぷらを作るんですよ」と、西和賀町の観光商工課の方。以前は、各家庭や冠婚葬祭の場でしか食べられませんでしたが、3年ほど前から地元の産直施設や、県内外の物産イベントでも販売するようになり、より多くの人がその味を楽しめるようになりました。また、今ではビスケットの天ぷらを模したキャラクターも登場しています。

外はモチモチ 中はしっとり
ほんのりとした甘さが広がる


衣をつける前のビスケット。町内のどこのスーパーにも必ずおいてあります。
産直施設で販売している「ビスケットの天ぷら」を作っている主婦で組織された生活改善グループの代表者の方を訪ねてみました。自宅の裏にある厨房で、毎日50〜60個のビスケットの天ぷらを揚げているそうです。

衣をつける前のビスケット。町内のスーパーにおいてあります。
まずは、衣を準備します。衣には米粉を使うのがポイント。「昔、この辺りは小麦粉がとれなくてね。そこで、身近な米粉を使うようになったんですよ」とグループの代表の方。現在では、米粉と小麦粉をブレンドする家庭がほとんどだそうですが、その配合割合は家庭によって様々。ここでは、米粉と市販の蒸しパン用のミックス粉、天ぷら粉を同量ずつ混ぜ合わせ、水で溶いて作っています。なるべく、ビスケットに近い味の衣にするため、この配合にしたとのこと。できた衣は固めで、天ぷらの衣というよりはホットケーキの生地のようです。
しゃもじを使って、1枚1枚たっぷりの衣をつけていきます。   揚げていると甘い香りが漂ってきます。
 
冷めてもおいしいけれど、揚げ立てのおいしさは格別です。
ビスケットにこの衣をつけて揚げていくのですが、使うのはイトウ製菓の「かーさんケット」。昔ながらの素朴な小麦粉の味がするビスケットです。「他のビスケットも試したことがあるけれど、やっぱり天ぷらにはこれが一番合う」のだそうです。
「かーさんケット」にこの衣をたっぷりとつけたら、中温の油で揚げていきます。揚がるにつれて、衣がぷっくりと膨らんでいき、揚げパンのような仕上がりになります。揚げたてを一口食べてみれば、衣とビスケットのほんのりとした甘さが口中に広がり、米粉のモチモチとした食感がクセになりそうです。
雪深い山村で生まれた生活の知恵「ビスケットの天ぷら」は、現代でも人々を癒す、懐かしの味でした。

(13.08.22)

●問合せは
西和賀町役場 湯田庁舎 観光商工課  電話 0197-82-3290
●価格
1個80〜100円程度
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