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発見!ご当地「油」紀行

ところ変われば、食文化も変わります。
ここでは、油を使用したご当地の特徴ある料理や、
レシピなどを紹介します。

第38回

滋賀県草津市 ホンモロコの天ぷら

 
“幻の魚”から 再び“市民の味”へ
琵琶湖一美味しい魚 “ホンモロコ”
日本一大きい湖、琵琶湖を擁する湖国、滋賀県。その南部に位置する草津市は、江戸時代には東海道と中山道が分岐・合流する宿場町、草津宿として栄えました。現在でも、県庁所在地の大津市に次ぐ県内第二の人口を有し、JR東海道本線、国道1号、名神高速道路など日本を東西に結ぶ主要な交通網を擁し、今なお県内の交通の要衝としての役割を果たしています。
琵琶湖には、ビワコオオナマズ、ニゴロブナなど固有の貴重な魚が10数種ほど生息していますが、その中でも特に美味しいと言われているのがホンモロコ。どのような魚なのでしょうか。早速訪ねてみました。
草津宿本陣は、現存する宿場町の本陣の中で最大級を誇り、江戸時代には、大名や幕府の役人の宿泊・休憩施設として利用されました。   滋賀県の面積の約1/6を占める琵琶湖。古くは、京都から東海・北陸への物資の輸送の水上交通路としても利用され、現在では京阪神の水がめとなっています。<写真提供:草津市役所>


琵琶湖の固有種も
今や田んぼ育ちに?!


休耕田を活用した養殖池。
ホンモロコは体調8〜12cmほどの魚で、味にクセがなく、頭から尾まで食べられるほど、骨が軟らかいことが特徴です。昔は、滋賀県の家庭の食卓に日常的に並んだり、その上品な味から京都や大阪の料亭でも珍重されてきました。しかし、琵琶湖の水質悪化や、外来魚の食害等により1990年代の初頭には毎年200〜400tほどあった漁獲高が、わずか10年で1/10ほどに激減しました。そこで、草津市では伝統の味を伝えるため2004年に休耕田を養殖池として利用した実験を開始、2007年には、「草津ホンモロコ生産組合」が発足し、10人ほどの組合員が養殖ホンモロコを生産・販売しています。
ホンモロコの旬は秋〜冬。生産組合で養殖したホンモロコは、11月から12月に市内の道の駅やイベント等で販売されます。ホンモロコ料理を提供している外食店もごくわずかのため、販売会では一度は“幻”になりかけた、その味を多くのお客さんが求め、すぐに売り切れてしまうほど人気なのだそうです。
養殖池から水を抜き、排水口の部分に出てきたホンモロコをキャッチして水揚げします。
「養殖で一番難しいのが、モロコの餌になるプランクトンを育てることなんですよ。」と、生産組合の代表の方。ホンモロコを卵から孵化させるタイミングと、餌のプランクトンが最も発生するタイミングを合わせる技術的な難しさ、そして生産コストの高さや、生産者の高齢化等、課題も多くありますが、養殖ホンモロコは草津の新たな名物として、着々と市民に浸透していっているようです。


からっとした衣に ふんわりとした肉質
素材の味の良さを 最大限に引き出して


ホンモロコの養殖を手掛けているご家庭で、天ぷらを作っていただきました。淡泊な肉質は、油との相性がとても良いのだそうです。「天ぷらの他に、南蛮漬けにしても食べますね。あとは、砂糖と醤油で煮た『あめ煮』も美味しいですよ。」と、生産者の奥様。
ホンモロコは、特に下処理せずにそのまま食べられる魚のため、泥はき用の水槽から水揚げしたら、さっと流水で洗い、そのまま天ぷら衣につけ、180℃の油で揚げていきます。
まだ生きているままのホンモロコは鮮度抜群で、まるで天ぷらの衣や、油の中を泳いでいるようです。「モロコの素材の味を生かした料理なんです。揚げている間も、あまり触らないことがきれいに揚げるコツなんですよ。」と奥様。ホンモロコが浮いて来れば、揚げあがりの証しです。

養殖池から水揚げした後、1週間ほどきれいな水で泥はきさしてから料理に使います。   180℃の油で、4〜5分程揚げていきます。
今回は生きているまま揚げたので、ひれが大きく開き、まるで泳いでいるかのような仕上がりになりました。
揚げたてを食べてみると、さくっとした衣の中に、ふんわりとした食感で、少し甘みのあるホンモロコの味が広がります。味付けは全くしていませんが、淡水魚独特の臭みも感じず、「琵琶湖の魚で一番美味しい」と言われている理由が分かりました。
田んぼで育った琵琶湖の固有種、“草津ホンモロコ”は、育つ場所が変わっても“琵琶湖一美味しい”の称号に相応しい、上品な味を具えていました。そして、田んぼで育ったホンモロコと共に、琵琶湖産の天然ホンモロコが、いつの日か日常的に食卓に登場する日がくることを、多くの市民が願っているのでした。

(14.12.24)

●問合せは
草津ホンモロコ生産組合 事務局
077-561-2347
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