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発見!ご当地「油」紀行

ところ変われば、食文化も変わります。
ここでは、油を使用したご当地の特徴ある料理や、
レシピなどを紹介します。

第9回

大阪府(箕面市) もみじの天ぷら

 
全山を錦に染めるモミジを目で楽しみ、
箕面市特産の“もみじの天ぷら”を舌で楽しむ

阪急箕面線箕面駅は箕面公園へのスタート地点。整備された山道は“滝道”と呼ばれ、紅葉の季節には多くの観光客が列をなします。(写真左) 箕面駅から徒歩5分の場所に立つ西江寺 阪急箕面線箕面駅は箕面公園へのスタート地点。整備された山道は“滝道”と呼ばれ、紅葉の季節には多くの観光客が列をなします。(写真左) 箕面駅から徒歩5分の場所に立つ西江寺
(さいこうじ)は斎明天皇4年(658年)に開かれた古刹。美しい紅葉で知られます。(写真右)
 
箕面市は大阪府北部に位置する大阪都市圏のベッドタウン。市の北部は“明治の森箕面国定公園”が広がり、箕面川の渓谷美とモミジと箕面の大滝で知られる自然の宝庫となっています。
ことに箕面公園のモミジの紅葉は全国でも指折りの美しさで、季節には“もみじまつり”が開催され、大阪府内はもちろん日本各地から大勢の人が紅葉狩りに訪れます。
紅葉で名を馳せる箕面には特産品の“もみじの天ぷら”があります。その歴史とおいしさの由来を訪ねてみました。

“もみじの天ぷら”の起源はなんと1300年前。
修験僧の役行者(えんのぎょうじゃ)にさかのぼります。

箕面駅を降りて箕面温泉に向かう滝道を進むと、道の両側で“もみじの天ぷら”を揚げるみやげ店が立ち並びます。“もみじの天ぷら”は箕面市の特産品であり、現在20軒以上の店が販売しています。多くの店が滝道に面して店を開き、店頭でモミジ葉に衣をつけて揚げています。その歴史は大変古いものでした。
およそ1300年前、修験僧の役行者は箕面山で修行していました。秋になり箕面大滝に映えるモミジの美しさに心うたれた役行者は、灯明の油でモミジ葉を揚げ、修験道場を訪ねる旅人に供したといいます。また一説には西江寺(さいこうじ)の本尊である聖天様に、境内に多かった一行寺楓(いちぎょうじかえで)の葉を油で揚げてお供えをしたといわれ、これらが“もみじの天ぷら”の始まりとされます。現在“もみじの天ぷら”は箕面市の特産品となっていますが、みやげ品としての起こりは明治時代初期ごろに箕面大滝付近で売り出されたといい、その後明治31年(1898年)に箕面公園の開園、明治43年に阪急電車が箕面有馬電気軌道を開通させると、それにともなって観光客が増え、“もみじの天ぷら”も広がっていったといいます。
紅葉真っ盛りのように美しく揚げられた“もみじの天ぷら”。しっかりとした歯ざわりのあとに、甘みが広がります。
ひと言で“もみじの天ぷら”といいますが、その製法は大変手間のかかるものです。材料は通称“おたふく葉”と呼ばれるモミジ葉で、一行寺楓という種類の木の葉です。肉厚が薄く、葉の切れ込みも浅い種類です。一行寺楓の葉は紅葉しても真っ赤にならず、鮮やかな黄色に染まります。真っ赤なモミジ葉や緑の葉を天ぷらに使うと、揚げ上がりが黒くなってしまうといい、これも一行寺楓の葉が選ばれる理由の一つです。一行寺楓の葉が真っ黄色に色づいた最盛期に収穫し、ていねいに水洗いしたあと塩漬けし、1年間寝かせて灰汁(あく)を抜きます。揚げる前にモミジ葉は塩抜きをされ、水で溶いた小麦粉に砂糖・白ゴマを加えた衣をつけられ、菜種油で揚げられます。 晩秋の陽の光に鮮やかに輝く一行寺楓の黄葉。


じっくり揚げて、しっかり油を切ること。
これが“もみじの天ぷら”の、揚げ方のコツ


箕面駅から滝道を歩くこと3、4分。滝道に店を構えて三代続くというみやげ店を訪れ、“もみじの天ぷら”の作り方を伺いました。
もみじまつりの行われるこの季節、おびただしい観光客が通るので商品の販売は目が回るほどといいます。最盛期の休日の人出は、ターミナル駅のラッシュ時のようだとのことです。さらにこの季節は天ぷらの材料となるモミジ葉が紅葉の最盛期を迎えます。材料の収穫と販売と二重の忙しさに追われるのです。
さて1年間塩漬けされたモミジ葉は塩抜きをし、脱水機で脱水をします。そのあと揚げやすいように1枚ずつきれいに並べ直し、さらに揚げる分を細長い木の板に並べます。揚げ衣は水で溶いた小麦粉にザラメを加えて甘味とし、白ゴマを加えます。「甘味に白砂糖を使う店もあるんですが、うちはザラメ。味にコクがでます」。モミジ葉の両面に衣をつけ、大きな鉄鍋の油の中へ。油は菜種白絞油を用います。タネはいったん鍋底まで沈み、ゆっくりと浮き上がってきます。その後両面を返しながら揚げること15分。「油の温度が高いと焦げ付いてしまいます。低温で時間をかけてゆっくりときつね色に揚げるのがコツですね。こうしないと衣がふくらまないし、油切れも悪くなるんです」。

収穫したモミジ葉にたっぷりの塩をまぶし塩蔵します。 細長い板にモミジ葉をのせ、1枚ずつ衣をつけて揚げていきます。 たっぷりの油で、低温でじっくりと揚げること。鍋の中できつね色のモミジ葉が花開きます。

葉の切れたものは揚げると丸まってきれいなモミジ葉の形にならないから注意をするといいます。
店頭でよく要望されるのが「揚げたてを詰めて売ってください」の言葉。残念ながら揚げたては油が切れておらず、袋の中で油が滴るようになってしまうので販売できないそうです。商品は揚げてから2〜3日おき、完全に油を切ってから袋詰めするのだそうです。

美しい葉の形そのままに、きつね色にカリッと揚げられた“もみじの天ぷら”。
自然の素材だけで作られた箕面市の特産品は紅葉の季節だけでなく、年間を通して観光客を楽しませています。
各みやげ店では店先に構えた大きな鍋で“もみじの天ぷら”を揚げており、滝道の風物詩にもなっています。
各みやげ店では店先に構えた大きな鍋で“もみじの天ぷら”を揚げており、滝道の風物詩にもなっています。

(09.10.8)

●問合せは
箕面市地域振興部商工観光課 電話 072-724-6727(直通)
http://www.city.minoh.lg.jp/kankou/index.html
●価格
70g 300円(およそ6〜8枚)〜。箱詰めあり。地方発送を行う店もあります
●箕面市へのACCESS
電車:梅田駅から阪急宝塚本線急行で約15分、石橋駅で阪急箕面線に乗り換え約6分、箕面駅下車
車:中国自動車道中国池田ICから国道171号、豊中亀岡線経由で箕面駅まで約6.5km
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