トップメッセージ

日清オイリオグループが担う使命

当社グループは創業以来112年にわたって、“植物のチカラ®”を最大限に引き出した油脂を人々の暮らしにお届けしてきました。油脂は人の体に必要な三大栄養素のひとつであり、「おいしさ」、「健康」、そして「美」にいたるまで、生活に欠かすことのできない存在です。植物油を通じて社会に貢献することが当社グループの使命であることは、現在も、そして未来においても変わることはありません。
一方で、油脂に求められる役割は時代とともに変化しており、ここ数年では健康意識の高まりを受け、油脂の価値があらためてクローズアップされています。当社グループでは、「かけるオイル」※1 やMCT(中鎖脂肪酸油)※2 などについて、使い方や機能に関する情報発信も含めて市場を牽引する取り組みなどにより、健康に関わる付加価値の提供という側面から社会のニーズに応えています。
また市場の拡大を背景に、加工油脂事業では高機能なチョコレート用油脂を、ファインケミカル事業では高品質な化粧品原料をそれぞれBtoB向け商品としてグローバルに展開しており、当社グループが担う役割・使命もまたアジアをはじめ世界各国に及んでいます。
私は当社グループの生産拠点を訪れるたびに、「支える力、変える力、生み出す力」を持つことが工場の役割であるという思いを従業員と共有しています。しかしこれは生産部門に限ったものではなく、メーカーである当社グループのすべての活動にいえることだと思っています。当社の技術・開発力で植物資源の可能性を引き出し、お客様が求めるものを、さらにはお客様の潜在的なニーズにお応えする新たな商品・サービスをお届けできるよう、「“植物のチカラ®”をベースにしたソリューション提案」を推進していきます。
※1 )かけるオイル オリーブオイル、ごま油、アマニ油など、さまざまな料理に生でそのままかけて食べる商品です。
※2 )MCT(中鎖脂肪酸油) 当社グループが長年研究開発に取り組んでいる中鎖脂肪酸100%の油で、近年その認知率は向上しています。栄養面のみならず、運動能力の向上や脳機能の活性化など、MCTが持つ可能性について今後も研究を続けるとともに、適切な情報発信を行っていきます。

マクロとミクロの視点から市場を捉える

わが国では、少子高齢化による人口減少などが深刻な社会課題となっています。さらに世界に目を向ければ、人口増加による食料需要の拡大、海洋プラスチックゴミなどの環境問題、労働や環境にも関わる持続可能な調達など、解決すべき課題が山積しています。グローバルなビジネスを推し進める当社グループとして、これらの課題を見据え、マクロの視点に立って事業戦略や投資計画を考えていくことが重要です。
その一方で、ミクロの視点に立ったきめ細やかな事業活動も同様に大切であると、私は考えています。たとえばマクロの視点から日本経済を眺めると、人口減少にともなうマーケットの縮小が懸念されていますが、最近の食用油マーケットは「かけるオイル」や中食・外食向け商品に拡大の動きが見られます。そのため、マクロの視点を意識しすぎるのではなく、日々の商談やお客様とのコミュニケーションから足元の環境変化を捉えることを大切にしています。細部にいたるニーズを掘りおこし、新たな価値提案をすることによって、困難と思える状況もチャンスに変えることができるのです。
これらの状況をふまえ、今後は全体感や平均を捉えるよりも、部分・個別のデータや環境を分析していくことが必要になると考えています。当社では20年以上にわたり生活科学研究課※3が食生活の変化を調査・分析しているほか、BtoB分野では取引先であるお客様とともに、個別に最適なソリューションを考えるニーズ協働発掘型営業を推進しています。このように、マクロとミクロの両方を視野に入れながら事業活動を大胆に推進していきます。
※3 )生活科学研究課 食生活を中心とした社会環境や生活者の価値観の変化、それらに起因する生活習慣の動向等、社会全般の調査研究や情報発信を行っています。

明確なコミットメントの必要性

最近ではSDGsという言葉も広く知られるようになり、持続可能な社会に向けた取り組みへの関心が高まっています。また企業経営においても、ESGがきわめて重要なキーワードとなっています。
当社グループでは、国連グローバル・コンパクト※4への署名やSDGsへの賛同とともに、現在推進中の中期経営計画において「ESGを重視した経営の実践」を掲げています。また、事業活動におけるグローバル戦略の一翼を担うパーム油については、サプライチェーン全体で環境や人権に配慮する「パーム油調達方針」を策定しました。
このような社会との共存・共栄という考え方は、人々の暮らしに深く関わる当社グループとして、創業時からずっと大切にしてきたものです。さらにCSV(共通価値の創造)という考え方についても、これまでの事業を通じて実践に努めてきました。しかしそれを外に向けて発信するという点では、多少の課題を残すと認識しています。今後は当社が持つ思いを確固たるコミットメントとして提示し、その責任をどう果たしていくかに力点を置いていきます。改善を図りながらコミットした目標を達成し、また新たにコミットしていく。この連続した取り組みが、より良い社会、そして当社グループのより良い成長につながっていくものと考えています。
※4 )国連グローバル・コンパクト 当社は2011年に署名しています。2018年度はESG勉強会や新入社員研修などを通じて、従業員に対して国連グローバル・コンパクトの理念の浸透を図りました。

中期経営計画の折り返しに向けて

当社グループは、2017年度に中期経営計画「OilliO Value Up 2020」をスタートしています。これまでの2年間で、国内ホームユース領域、業務用・加工用領域、また各国マーケットのひろがりを受けた加工油脂事業やファインケミカル事業など、数字の面では着実な成果をあげています。一方で、加工油脂事業におけるグローバルサプライチェーンの強化※5や、ヘルスサイエンス事業の拡充など、まだ途中段階にある取り組みもありますが、ゴールである2020年度における経営目標の達成に向けて取り組みを加速させていきます。
従業員は新たな成長に向けて手応えを感じ、意欲を持って仕事に取り組んでいるように思います。女性活躍推進※6をはじめ、従業員がいきいきと働くことのできる環境づくりを継続しながら、グループ一丸となってさらなる成長を目指していきます。
※5 )グローバルサプライチェーンの強化 2018年度にイタリアの精製会社Intercontinental Specialty Fats (Italy)S.r.l.を取得したほか、大東カカオ株式会社とインドネシアのサリムグループとで設立した合弁会社PT Indoagri Daitocacaoが建設を進めていた業務用チョコレート工場が完成し、2019年度より製造を開始します。
※6 )女性活躍推進 2017年度より「女性キャリア研修」を実施しています。自身の強みの再認識や上司とのキャリアビジョンの共有などを通じてキャリアを前向きに考えることで、今後の成長につなげています。

新たな成長のストーリーを描く

当社グループでは、すべてのステークホルダーの皆様に約束すべき「コアプロミス」として、「あったらいいなと思う商品・サービスを市場に先駆けて創り続けていくこと」を掲げています。お客様の視点に立ってニーズを発掘していくことは、新たな価値を生み出すための欠かせない第一歩となります。しかし、そこに踏みとどまっているだけでは革新はあり得ません。さらに大切なのは、そのニーズをいかに具現化し、社会に届けていくかということです。2019年度は生産技術分野を拡充するなど、その使命を果たすための組織づくりにも取り組んでいきます。
中期経営計画のスタートから2年。当社グループが将来にわたり成長を続けるために、新たな成長のストーリーを描く段階に入ります。社会との関わりの中でどのように価値を創造していくのかという視点で、当社グループの価値創造ストーリーを描き、グローバルな舞台で存在感のある企業を目指していきます。

2019年7月