発見!ご当地「油」紀行

第3回 中国(上海市)「油」事情

新天地のカフェの写真

新天地のカフェの写真

中国最大の商業都市である上海。
最近の急速な発展とともに開放的で先進的な都市となりました。そんな上海人は、新しいものを受け入れることにもあまり抵抗がありません。食の面でもファッションの面でも世界の最先端の流行を貪欲に取り込む上海には、地元の上海料理以外に、四川料理、広東料理、雲南料理等の中華料理をはじめ、日本料理、ベトナム料理、イタリア料理…など様々な国のレストランがあります。

5リットルの巨大食用油が並ぶスーパーマーケット

マーケットで売られている5リットルの大豆油。さすがに5リットル入りの油は重いということもあり、油購入には父親がスーパーに出向くことも多いようです。

マーケットで売られている5リットルの大豆油。さすがに5リットル入りの油は重いということもあり、油購入には父親がスーパーに出向くことも多いようです。

まずは、スーパーマーケットを訪問しました。調味料売り場に行くと、日本では見かけないような、5リットル入りの大きな容器で食用油が売られています。これはなぜなのでしょうか。中華料理はほとんどの場合、調理で「炒める」という作業が入ります。このため油をたくさん使うのです。ですから、消費者のニーズに応じて、大容量の油が店頭に並んでいるというわけです。
ちなみに、日本では計量法により油の量を「グラム・キログラム」などの重量で表しますが、海外の多くは「ミリリットル・リットル」などの容量で表します。

マーケットでの販促風景。生ものを食べる習慣が定着していないため、サラダなど生食の試食は敬遠されがちです。ですが、揚げ物になると、中には何皿も試食していくお客さんも見かけるほどの人気です。

マーケットでの販促風景。生ものを食べる習慣が定着していないため、サラダなど生食の試食は敬遠されがちです。ですが、揚げ物になると、中には何皿も試食していくお客さんも見かけるほどの人気です。

スーパーでは、食用油のデモンストレーション販売を行うこともあります。
また、5リットルの食用油の景品として500ミリリットル程度の食用油がつくこともあります。500ミリリットルといえば、日本の店頭では商品の容量ですので驚きです。

オリーブオイル、茶油が人気の兆し

マーケットで売られているオリーブオイル。

マーケットで売られているオリーブオイル。

茶油の500ミリリットル入りボトル。オレイン酸の含有量が高く、その脂肪酸組成がオリーブ油に匹敵することから「東方のオリーブ油」との美称もつけられています。

茶油の500ミリリットル入りボトル。オレイン酸の含有量が高く、その脂肪酸組成がオリーブ油に匹敵することから「東方のオリーブ油」との美称もつけられています。

生活水準が急速に向上している上海では、5リットルの食用油を使用している一方で、一部の人はオリーブオイルや茶油などのプレミアムオイルを使用しています。
茶油とは日本の椿、山茶花(さざんか)と非常に似ていて、飲用に用いるお茶の木とも近い種である油茶の木の種子からとれる油で、あっさりとした味わいを特徴としています。
一般的な食用油が5リットルで65元であるのに比べ、オリーブオイルは500ミリリットルで65元、茶油は30元と高価ですが、健康に配慮している層から注目を集めています。
※価格は2008年7月現在

家庭では小瓶に小分け

油を小分けしている瓶と調味料

油を小分けしている瓶と調味料

5リットルもある大容量の食用油は家庭ではどのように使われているのでしょうか。上海にお住まいの30代のご夫婦とお父様に5歳のお子様という4人家族のキッチンを拝見させていただきました。写真の左から油、醤油、黄酒(中国酒)、お酢で、大容量の食用油は家庭のキッチンで小さな容器に小分けされていました。「中華鍋に油を入れる際に5リットルの容器は重いので、家庭では小分けして使用します。」とのことです。日本ではあまり見ない光景ですね。

さて、これだけの量の食用油を使っているとなると、気になるのは使用後の処理方法。きっと大量の廃油が出るのでは?と思いたずねてみました。「中国では炒め物は多いのですが、日本のようなフライ物は少ないため、もともと廃油が出ることは少ないのです。」とのことでした。また、フライをするときも油は鍋に少し厚めにひく程度だそうです。天ぷらのようにたっぷりの油を使って揚げるというわけではないのですね。フライに使った油は、いったん保存して炒め物に使用することが多いのですが、最近は一度使っただけで捨てることもあるようです。