食と生活情報レポート

食生活を中心とした社会の動きについて、調査した結果を紹介します。

手作り料理は家族への愛情(上)

食生活に関するさまざまな場面で、「手作り料理は家族への愛情」という言葉を耳にしますが、今日の主婦にとって料理を手作りすることと家族への愛情の関係をどのように考えているのかを浮き彫りにするために調査を行いました。その調査結果を今週・来週と2週にわたってレポートいたします。全国の20才以上の女性1,281名を対象にアンケート調査を実施しました。

1.

最初に、「手作りの料理」を食卓に出すことと「家族への愛情」との関係を調査結果をもとにみると、主婦全体の54%が「関係がある」と考えており、「どちらとも言えない」が39%、「関係ない」という主婦はわずか7%でした。年代別では、これらは「関係がある」と考える主婦は60代で76%と多く、その一方で30代の主婦では43%ともっとも少なくなっています。

手作り料理と愛情の関係
手作り料理と愛情の関係

2.

料理の手作りに対する主婦のこだわりは、全体の約半数の主婦が料理は「できる時だけ手作り」をすると回答しており、手作りを心がけるものの力まずに調理に向かっている『手作り自然体派』の主婦が多いことがわかります。また、「ほとんど手作りしている」という『手作り実践派』が25%、そして手作りには「こだわらない」という『手作りこだわらない派』も18%存在しています。年代別にみると、『手作り自然体派』の主婦は20~40代で65%前後と多く、50代以降の主婦の間では少なくなる傾向となっています。
50代以上の主婦の間では『手作り実践派』が多くなることは予想されたことでもありますが、同時にこの年代の主婦の間で『手作りこだわらない派』も増加しています。この現象が、子供の独立で家族の人数が減り、主婦として調理することの責任が軽くなっていることに遠因しているともみえます。一方で、20~40代に多い『手作り自然体派』は、便利な調理済食品が豊富にある時代、言い換えれば、「できる時だけ手作り」するということが可能な環境で生まれ育ってきた主婦たちに多く、近い将来、キッチンにおいて主流となるこの世代が、年を重ねるとともに「手作り」に対してどのような考え方を持ち、調理に取り組んでいくかということについては非常に興味のあるところです。

手作りへのこだわり
手作りへのこだわり
家族への愛情と手作りの関係
家族への愛情と手作りの関係

主婦の「家族への愛情」と「手作り料理」の相関分類タイプ

  • (1)わかっているけどマイペース「手作り自然体派」(27%)

    ・・・手作りと愛情は関係があると考え、余裕があるときは手作り

  • (2)手作り料理と愛情は別モノよ「手作り自然体派」(24%)

    ・・・手作りと愛情との関係はどちらともいえないいが、余裕があるときは手作り

  • (3)家族のために「手作り実践派」(19%)

    ・・・家族のために愛情を込めて「手作り料理」を用意

  • (4)どうあれ「手作りにこだわらない派」(21%)

    ・・・「手作り料理」を無視するわけでもなく、特にこだわりもしない主婦
    もっとも「手作り料理」から距離のある主婦たち

3.

今回の調査では、主婦の過半数が無理をしてまで手作りをしない姿、また忙しい時、あるいは体調がすぐれない時には「市販の冷凍食品、レトルト食品」を活用する姿が浮かんできました。
そこで、これらの調理済食品や市販のお惣菜等を食事作りに使用する時の主婦の心情・気持ちについて確認しました。
全体では、調理済食品や市販のお惣菜等の利用は、「家事の合理化のためにやむを得ない」という主婦が17%、「どちらかといえばやむを得ない」が28%で、これらの主婦を合わせて調理済食品の利用は「やむを得ない」と考える主婦が45%存在していることになります。その際の心情としては、「手抜きのようで後ろめたい」という主婦は一番少なく10%、また、「どちらかといえば後ろめたい」という主婦が17%存在しており、全体として「後ろめたさを感じる」主婦は27%であり、また、「どちらともいえない」という主婦も28%存在していることがわかりました。
年代別にみた場合でも、調理済食品や市販のお惣菜等の利用は「やむを得ない」と思う主婦が、どの年代においてもトップであり、20~40代ではその割合がやや多いこと、そして「家事の合理化のためにやむを得ない」と考える主婦、また、「後ろめたさを感じる」主婦のいずれも、高い年代にやや多いことが特徴です。

調理済食品を利用する時の気持ち
調理済食品を利用する時の気持ち