食と生活情報レポート

食生活を中心とした社会の動きについて、調査した結果を紹介します。

家庭料理のおいしさ
~妻・夫が求める食のコミュニケーションとは~(上)

夫婦が食卓に求めるおいしさとは、「料理の味や見た目より、“家族と一緒” “くつろぎ” “家族間のコミュニケーション”が重要!」

生活科学研究課では、「家庭料理のおいしさ」について調査研究を行ってきました。
調査結果より、「家庭料理のおいしさ」が実は、味や見た目といった料理そのものよりも、家族が揃った一家団らんといった情緒的な要素による部分が影響を与えていることが分かりました。
今回、「妻・夫が求める食のコミュニケーション」について、調査結果の一部をご紹介致します。

(日清オイリオグループ(株)生活科学研究課調べ)

妻の予想を上回る、夫の食卓満足

夕食の食卓満足度をみると、妻、夫ともに9割以上が「今日の夕食はよかった」と感じているようです。ただし、自分が仕度した夕食を「非常によかった」と評価する妻が1割であるのに対し、夫は4割が「非常によかった」と評価しており、夫の食卓満足度は妻の自己評価を大きく上回っています。
また、「家族はとても満足したと思う」という妻の予想も1割にとどまっており、実際の夫の食卓満足度を大きく下回っています。実は、妻が思っている以上に、夫は妻の仕度する食卓に満足しているのではないでしょうか。

妻と夫の3日間の食卓評価
妻と夫の3日間の食卓評価
妻が予想する家族の満足度
妻が予想する家族の満足度

このように夫の評価に比べて自己評価の厳しい妻ですが、夕食の出来をさらに良くするポイントをどう考えているかを確認したところ、「もう一品あればよかった」「もう一工夫すればよかった」「もっと手間をかけて作ればよかった」など、仕度している自分に対しての反省ともとれる意見が多くあげられました。「食卓をより良いものにしたい」という妻の向上心がこのような反省を生み、厳しい自己評価につながるものとなっています。

夕食の出来をさらに良くするポイント(上位5項目)

自由回答 キーワード 回答数
もう一品あれば良かった! 61
家族全員が揃って食べたかった! 50
もう一工夫すればよかった! 49
もっと手間をかけて作ればよかった! 42
野菜をもっと充実させなくては! 27

妻にとって満足できる食卓とは「家族がおいしそうに食べてくれる食卓」 夫にとって満足できる食卓とは「自分が家族とともにくつろげる食卓」

夕食を仕度する妻にとって、「今日の食卓はよかった」と思える最大の理由は、「家族がおいしそうに食べたから」「家族が残さず食べてくれたから」でした。また、「家族からおいしいと言われたから」「食卓の雰囲気が良かったから」も上位にあげられていて、家族の反応が食卓の出来を判断するバロメーターとなっています。

食卓がよかったと思う理由(上位10項目)/妻(N=292)
食卓がよかったと思う理由(上位10項目)/妻

一方の夫について見ると、上位にあげられているのは「食卓でくつろげたから」「家族と一緒に食べたから」「できたての料理を食べられたから」「自分の好きな料理だったから」でした。作り手の妻とは違って、あくまでも自分の満足が満たされた時に「今日の食卓はよかった」となるようです。ただし、食卓に求めているのは、贅沢な料理でも格別においしい料理でもなく、自分の好きなものを家族と一緒にくつろいで食べるという、ごくごくささやかなことなのです。

食卓がよかったと思う理由(上位10項目)/夫(N=281)
食卓がよかったと思う理由(上位10項目)/夫