食と生活情報レポート
食生活を中心とした社会の動きについて、調査した結果を紹介します。
料理の“楽しみ”に関する調査
朝「香」・昼「美」・夜「だんらん」
~揚げ物は家族が喜ぶメニュー!!~
近年、“モノ”より“コト”への関心が高まっているといわれています。食における“コト”には、おいしいものを食べたり、家族や友達と一緒に食べるなど、食を“楽しむ”ことが根本にあると考えられます。2014年1月に実施した調査では、料理をする人の多くが楽しみを感じていたことから、食の“コト”づくりには、食べるだけはなく、料理をすることも重要な役割を果たしていると推測されます。そこで、料理の楽しみに関する詳細な調査を実施し、年代別に分析することで、それを感じるシーンやメニューなどを明らかにしました。
(日清オイリオグループ(株)生活科学研究課調べ)
調査概要
- 調査実施日
- 2014年9月25~26日
- 調査手法
- インターネット
- 調査地域
- 全国
- 調査対象
- 週に1日以上夕食を作る20~60代の女性
- サンプル数
- 1200サンプル(ウェイトバック集計)
調査結果
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喜ばれるメニュー、2人に1人は揚げ物
「家族は友人に喜ばれるとき/ほめられるとき」に料理の楽しみを感じる人は57%となり、周囲からの評価が料理の楽しみを感じる大きな要因になっていることがわかりました。また、「喜ばれる/ほめられるとき」に作っている料理として、半数近くの人が「揚げ物」を挙げ、さらに20〜40代では「揚げ物」がトップとなりました。
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朝食は“香り”、弁当は“美観”、夕食は”家族だんらん”が楽しさに
料理に”楽しみ”を感じたメニューを調べたところ、朝食は「サンドウィッチ」、「フレンチトースト」などのひと手間かけたパン系のメニューが上位となり、いい香りやちょっと贅沢な雰囲気に浸れることなどが理由となっていました。また、弁当は「玉子焼き」、「おにぎり」、「キャラ弁」が上位となり、可愛さや彩りなどの見ためを意識した理由が多く挙がっていました。夕食は「カレー」、「ハンバーグ」、「から揚げ」がトップ3となり、家族に喜ばれるからといった理由が挙がっていました。
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面倒の解消と家族のフォローで料理を楽しく!
料理に楽しみを感じない理由は、「片付けが面倒(52%)」、「メニュー/献立を考えるのが面倒(47%)」など、「面倒」を感じることや、「義務を感じる(31%)」ことが上位となりました。 また、料理が楽しくなるには、「食洗機」など、面倒さを直接的に軽減するといったことや、家族のフォローなどによりモチベーションを上げ、間接的に面倒さや義務感を緩和するといった意見も出ました。
<<家庭料理トレンド2015>> ~家庭料理の「新・こだわりポイント」
マーケティングコンサルタントの西川りゅうじん氏との協働により、キーワードでまとめて分析しました。
朝「香」=朝食は「香り」を楽しむことで優雅な気持ちに
朝食は三食の中で最も大切な食事である。朝食を抜くと逆に後でドカ食いして血糖値が急激に上昇し、生活習慣病につながる可能性が高まる。
しかし、現代人は忙しい。ビジネスパーソンの多くは、平日はギリギリまで寝て、一刻も早く出社しなければならない。だからこそ、朝食にかけられる平均時間は15分未満しかない。
だからこそ、サンドイッチやフレンチトースト、パンケーキなどを自ら料理することで、パンや具材を焼く「香り」を楽しみ、少しでも優雅な気持ちを味わおうという人が増えている。
また、栄養バランスと味のバリエーションを考えて、野菜や果実といったヘルシーな具材を加えたり、健康・美容に良いとされる流行のココナッツオイルを使用するなど、工夫を凝らしている。
昼「美」=昼食は彩あふれる「美弁当」づくりに達成感を得る
「弁当男子」が話題を呼んだが、近年、昼食にお手製のお弁当を持参する人が3割以上に増えたと言われる。それもそのはず、サラリーマン・OLが昼食にかけられる金額はワンコイン500円前後、平均昼食の時間も20分以下にとどまっている。さらに物価高でコンビニやレストランの食事代が上昇傾向にあるため、ますます「お弁当族」が増加しつつある。
お弁当は、お金や時間を節約できるだけでなく、栄養バランスも取れるので健康・美容にも良い。また、家族のいる人には、パートナーや子供に愛情が伝えられる。家計にも仕事にも健康にも、夫婦円満・家庭円満にもプラスだ。
玉子焼き、おにぎり、流行のキャラ弁をはじめ、キレイでカワイイ、「美観」に優れたお弁当づくりは、つくり手としての腕の見せ所であり、家庭のよろこぶ笑顔から達成感が得られる。
健康を意識した、彩りあふれる「美弁当」づくりが、家庭料理の新たな醍醐味になっている。
夜「だんらん」=時短かつボリューミーな「家族だんらん料理」が人気
夫婦共働きが当たり前になる中、「料理男子」が増えたとはいっても、多くの家庭では、まだまだ夕食づくりは妻の担当である。仕事から疲れて帰って、すぐにしたくしても、7時に食事をスタートするのは至難の技だ。
夕食の料理の要する時間は平均1時間弱だが、ほどんどの女性がもっと短縮したいと願っている。しかし同時に、家庭のだんらんのために、そして、家庭の健康のためにも、しっかりした料理をつくりたいと考えている。東日本大震災以降、平日でもなるべく夕食時に家族で食卓を囲むことを望む人が増えた。
そういった状況の中、カレー、ハンバーグ、から揚げ、グラタン、炒め物など、料理の工程は比較的簡単で、ボリューム感のある、「時短」かつ「ボリューミー」な「家族だんらん料理」が好まれている。
「家庭料理」の新・黄金時代が到来!? マーケティングコンサルタント 西川りゅうじん
景気はゆるやかな回復基調にあるが、消費税増税、円安による物価高、食の安全・安心への配慮、健康志向などを背景に、朝食・昼食・夕食ともに、「内食化」の傾向がますます高まっている。
老若男女を問わず、自炊が見直される中、今回の調査で明らかになった「家庭料理」の最新トレンドは、これからの日本の食のあり方を占う方向性を差し示している。
朝食・昼食・夕食ごとの「新・こだわりポイント」となっている、朝「香」・昼「美」・夜「だんらん」は、いずれも限られた時間と費用と労力で、料理と食事を精いっぱい楽しもうという消費者の創意工夫の現れに違いない。
料理本来の楽しさを知り、家族の笑顔や賞賛から満足感を得る人も増えており、インターネットで料理のレシピや作り方が簡単に調べられるようになったことも手伝って、「家庭料理」の新たな黄金時代が到来しつつあると言えよう。
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