発見!ご当地「油」紀行

第5回 大分県(中津市)鶏のからあげ

『中津からあげMAP』も発行。サクッとジューシーな“からあげ”タウン

JR日豊本線の中津駅。ここが、“からあげ”タウンの出発点です。

JR日豊本線の中津駅。ここが、“からあげ”タウンの出発点です。

錦綾なす耶馬渓の“一目八景”の紅葉。一目で8つの奇岩を望めることから名付けられた耶馬溪一の名勝です。

錦綾なす耶馬渓の“一目八景”の紅葉。一目で8つの奇岩を望めることから名付けられた耶馬溪一の名勝です。

江戸時代、奥平10万石の城下町として栄え、現在も武家屋敷や古寺が残る大分県中津市。福沢諭吉の出身地としても知られます。市の南部には渓谷に映える紅葉・新緑が見事な耶馬溪(やばけい)が全国から多くの観光客を集めます。
JR中津駅を中心に、市全域に広がるのが、“からあげ”の店。冠婚葬祭のあらゆる場面で登場し、中津市民とは切っても切れない郷土の味が“からあげ”。その人気のヒミツとは…??

月に数回食卓にのぼる日常食だが、冠婚葬祭などにも必ず登場

A4判2つ折の『中津からあげMAP』。表面は所在地図に、裏面は30軒を超えるお店のデータを紹介しています。

A4判2つ折の『中津からあげMAP』。表面は所在地図に、裏面は30軒を超えるお店のデータを紹介しています。

平成17年に耶馬渓町など4町村と合併し生まれた人口8万6000人の中津市。そんな中津市民の大好物が“からあげ”です。誕生パーティーや運動会や行楽に、さらには結婚披露宴や法事の料理にも“からあげ”が登場します。
各家庭で揚げたりするのはもちろんですが、特筆すべきは中津には“からあげ”店が数多く存在することです。“からあげ”だけを販売する“からあげ”専門店、メニューに“からあげ”を加えている食事処、“からあげ”を売る精肉店などがあり、正確な店数は把握できません。中津市ではこうした“からあげ”人気に応え、市内の“からあげ”店を紹介する『中津からあげMAP』をホームページ上で発信しました。ところがホームページだけではなく印刷物でマップが欲しいとの要望が多く、平成19年秋に印刷物の『中津からあげMAP』を発行。これも平成20年夏に増刷されたというところからも、“からあげ”人気がうかがえます。

中津の“からあげ”は、昔、政府の方針で中津に多くの養鶏場が建てられたとか、第二次大戦後に、旧満州からの引揚者が中国での食べ方を再現したからなどといわれていますが、発祥は諸説あって不明とのこと。醤油をベースにニンニクやショウガなどの調味料、香辛料を加えたたれに鶏肉を漬け込み、片栗粉をまぶして揚げる。これが中津の“からあげ”の基本です。中津市民はお気に入りの味の店をなじみにして、そこで“からあげ”を購入するほどです。
ちなみに、大分の名物に“とり天”がありますが、“からあげ”とは違います。その違いは、“からあげ”は肉に下味をつけ片栗粉をつけて揚げますが、“とり天”は天ぷら衣をつけて揚げ、食べるときポン酢などのつけだれを使う違いといいます。“とり天”も大分市を中心に県域で広く食べられており、結果として大分県は鶏肉消費日本一となりました(2005年総務省家計調査・県庁所在地統計)。

親子2代のファンもいるほど。創業して32年の“からあげ”の先駆者です

市の郊外、植野にある“からあげ”店。国道沿いに立ちアクセスもよい人気店です。

市の郊外、植野にある“からあげ”店。国道沿いに立ちアクセスもよい人気店です。

『中津からあげMAP』には30軒を超す“からあげ”店が掲載されています。今回はこのなかから、平成20年に開業32年を迎えた“からあげ”専門店にお邪魔しました。
ご主人はかつて精肉店に勤め、その経験を生かして独立しました。「わたしがこの商売を始めたころは、“からあげ”の店なんて数軒だったですよ」。それがいまでは中津の“からあげ”としてメディアにも取り上げられるようになりました。この店の“からあげ”を食べた子どもが大きくなり自分の子どもを連れて訪れる親子2代のファンや、中津に帰郷すると必ず立ち寄ってくれる人も多いといいます。このような移り変わりを遂げた中でも、“からあげ”の値段は開業以来ほとんど変わっていないとのことです。

漬け込んで片栗粉をまぶしたもも肉をフライヤーへ

漬け込んで片栗粉をまぶしたもも肉をフライヤーへ

カリッと揚がった骨なしもも肉の“からあげ”。ほかに骨付き、手羽先があります。

カリッと揚がった骨なしもも肉の“からあげ”。ほかに骨付き、手羽先があります。

「つけだれは醤油をベースに、ニンニク・ショウガ・赤コショウや、味に丸みを出すため果物も使います」。味はつけだれによって決まります。各店によってそれぞれ独自のレシピをもっていてそれが店の個性となります。こだわっているのは、つけだれだけではありません。素材、つまり鶏肉が一番大切です。「鶏は全て大分産。冷凍物は一切使っていません」とご主人。
こだわりの鶏とこだわりのつけだれで下準備された鶏肉がフライヤーに。160度の油で5分。じっくりと揚げれば、中津の“からあげ”のできあがりです。

この中津“からあげ”タウン風「鶏のからあげ」のレシピをご紹介します。
にんにく、しょうがの風味が効き、冷めても美味しくいただけます。ご当地の味をぜひご家庭でお試しください。

レシピはこちらです。⇒ 鶏のからあげ 中津風

問合せは
中津市商工観光部 商工振興課 電話 0979-22-1111
https://www.city-nakatsu.jp/categories/soshiki/shokokanko_bu/shokoshinko_div/
価格
骨付き160円前後
骨なし190円前後
手羽先160円前後(各100gあたり)
中津市へのACCESS
電車:大分駅からJR日豊本線特急ソニックで約50分、中津駅下車。
   博多駅からはJR特急ソニックで約1時間15分、中津駅下車
車:大分自動車日田ICから国道212号経由で約50km