当社グループでは、「ビジョン2030」や中期経営計画「Value UpX」で目指す姿の実現や当社が取り組む事業に対してネガティブな影響を及ぼす不確実性を「リスク」と定義し、リスクマネジメントを行っています。リスクマネジメントに対する主体的な取り組みを通じて、企業として安定した収益を上げるだけでなく、社会的責任を果たすことを通じて更なる企業価値の向上と発展を目指すことを目的としています。
当社グループでは、取締役会が設置するリスクマネジメント委員会が全社的なリスクを総括的に管理しています。リスクマネジメント委員会では、以下のプロセスによって重要リスクを選定しています。
リスクの網羅的な把握・整理のため、リスクの4類型(縦軸)とバリューチェーン(横軸)の二軸によるマトリクス図を当社グループ全体に展開し、各部門・各グループ会社でリスクの俯瞰的なチェックを実施しています。

リスクマトリクス図の中から、リスクマネジメント委員会で13項目を選定しています。重要リスクの内容と対応については次の通りです。なお、「イラン情勢の緊迫化」については全社横断的に影響を及ぼす性質があると考えており、特出しのリスクとしてモニタリングするため、13項目とは分けております。
<リスクマトリクス図>
当社グループの重要リスクの内容と対応については次のとおりです。
なお、以下「対応」の一部で記載のある具体的な取り組みや実績は、2025年度末までのものとなります。
原油・物流・為替を通じた間接的な影響が、経営全般・サプライチェーン全体に拡大する可能性があります。
関連する各部門・グループ会社、執行役員会、リスクマネジメント委員会等の会議体が、それぞれ主体となり、影響とリスクのモニタリングを継続実施していきます。
食品の品質および安全性についての社会的関心の高まりから、より一層厳格な品質管理体制が求められております。品質問題が発生した場合は、当社グループへの信頼や業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社執行役員会が設置する品質マネジメント委員会にてグループにおける品質保証に関する方針、施策の審議および実行の確認を行っており、国内の主要工場におきましては、ISO9001の認証および食品安全マネジメントシステムに関する国際規格であるFSSC22000の認証を取得し、一部の製造工程ではGMP認証を得るなど、厳しい品質保証体制を構築しております。
当社グループおよび調達先による人権問題の発生や、人権上で問題のある調達を行った場合、当社グループへの信頼や業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
2025年度は、当社の物流、資材領域のサプライヤーに対するSAQ調査や対面調査を実施しました。また当社及びグループ会社で人権教育を実施するとともに、当社グループ会社における人権デュー・ディリジェンスの仕組みの展開と導入の推進にも取り組みました。
2026年度は、当社の製造委託先、原料調達先等へのSAQ調査の実施や、海外の当社グループ会社と連携したグループ全体での人権尊重に取り組み、PDCAサイクルでの継続的な人権デュー・ディリジェンスを推進してまいります。
当社グループは、日本国内のみならず、東南アジア、欧州等の国および地域において事業を展開しております。以下のような事象は、特に海外事業展開においては、リスクとなります。
これらの事象が発生した場合には当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループにおきましては、これらのリスクを最小限に留めるべく、各地の当社グループ会社と連携し、情報収集に努め、危機管理体制のなかで的確かつ迅速に対応してまいります。
地震・津波に加え、近年異常気象による風水害等のリスクが年々高まっていると認識しております。このようなリスクにより、従業員の安全面をはじめ、生産拠点の製造設備、物流設備、インフラ等に被害が生じた場合、サプライチェーンの要所への影響から製品の安定供給に支障が生じ、当社グループの業績および財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、地震・津波等の災害発生時対策として、従業員等の安否を確認する安否確認システムおよびBCP(事業継続計画)を構築し、随時見直しを行うことで、実効性を高めています。並行して、従業員等の安全および生産体制の基盤強化のため設備面で耐震補強を進めるとともに、護岸・電力調達における地震対策の強化も行っております。
また、総合防災訓練や教育を定期的に実施するとともに、近年の異常気象による風水害等のリスク軽減についても重要な課題とし、減災の取り組みも含め、推進しております。
これらの対策を超える甚大な影響のある事象についても継続して検証を行い、可能な限り被害を最小化するとともに、保険の付保を行い、当社グループの業績および財政状態への影響を低減することに努めております。
火災・爆発などの大規模な事故を起こした場合は、製品の安定供給に支障が生じ、当社グループへの信頼や業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、全社的な安全・防災管理にかかわる統括責任を有する安全・防災担当役員を設置するとともに、安全・防災会議を中心とした全社防災体制、および事業場防災体制を構築しております。
また、緊急時体制を規定のうえ、総合防災訓練や教育を定期的に実施し、事故の発生防止に努めるとともに、万一の発生に備えております。
これらの取り組みおよび保険の付保により、当社グループの業績および財政状態への影響を低減することに努めております。
「日清オイリオグループビジョン2030」で目指す姿の実現に向けては、多様な価値観や専門性を有した人材が必要不可欠であり、不足すると競争力低下を招いてしまいます。
また、安全・安心な製品を安定的に提供していくためには、特に製造や物流現場の活動を担う人材が不足することは事業継続性の大きなリスクであると認識しています。
さらに、社員一人ひとりが、公私ともに充実し、当社グループで意欲的に能力を発揮し続けていくためには、自身の健康が最も大切な要素です。社員の健康リスクの発生は生産性などに影響が生じる可能性があります。
当社グループは、社員の多様性を尊重するとともに、一人ひとりが成長できる人材育成プログラム投資の拡充や、必要に応じた外部からの人材登用、女性活躍の推進、健康経営の推進など、イノベーションを生み出す活力に満ち溢れた組織づくりに注力することで、必要な人材の確保と強化に取り組んでおります。
安全・安心な製品を安定的に提供するにあたり、継続的な採用や教育、テレワークの積極的な活用、労働環境の最適化などにより人材の確保・定着に取り組むとともに、IoTやAI等の活用による作業の効率化や省力化を推進しております。
当社グループでは、経営トップを健康経営の最高責任者とした推進体制を構築し、社員の心身の健康、働きがい、生産性向上を目的とした健康経営の各種取り組みを推進しております。
当社グループは「日清オイリオグループ行動規範」に基づき、内部統制の体制を整え、グループ全体で法令・コンプライアンス遵守の徹底に努めております。それにも関わらず、当社グループの役員または従業員による法令・コンプライアンス違反などが発生した場合、当社グループへの信頼や業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、「日清オイリオグループ行動規範」の理解浸透に努めるとともに、研修等の施策を通じてグループ全体の法令・コンプライアンス遵守に関する意識向上に取り組んでおります。
特に、毎年実施している「コンプライアンスモニタリング」の運用を、2025年度に全面的に見直しのうえ課題抽出機能を強化し、そこから得られた課題を施策に反映することで、法令・コンプライアンス遵守の徹底を図っております。
当社グループでは、生産管理、物流管理、販売管理および財務・会計をはじめとした業務の円滑かつ効率的な遂行のため情報システムを構築しております。また、事業上の重要情報、事業の過程で入手した機密情報および個人情報を保有しています。大規模な災害や停電、またはコンピュータウイルスやサイバー攻撃などにより、システム停止に伴う業務遅延や情報漏洩等が発生した場合、お客さまや市場の信頼が失われ、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、情報システムの安定稼働、信頼性向上、情報漏洩防止のため、ツールによるセキュリティ対策を導入するとともに、従業員教育や訓練を実施し、リスクが顕在化しないように取り組んでおります。
また、セキュリティ事故発生に備え、対応マニュアルや連絡体制を整備しております。
情報セキュリティ会議では、情報セキュリティ対策について定期的な報告を受け、評価および見直しを実施しております。
当社グループの製品に必要な原材料の中でも、特に油脂事業および加工食品・素材事業における大豆、菜種およびカカオなどの主要原料やオリーブ油およびパーム油をはじめとした原料油脂の調達環境が悪化し、十分な量の原材料が調達できない場合や、当社グループが求める品質・安全性を充たした原材料を確保できない場合には、製品の安定供給における多大なリスクが生じ、当社グループへの信頼や業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
世界の人口増加や各地で頻発する異常気象等による食糧需給の不透明感は年々高まりつつあり、また、原材料の生産国における政策動向、地政学リスクの高まり等によっては供給が不安定化するリスクもありますので、細心の注意を要します。
当社グループでは、干ばつなど天候の影響、生産国での政策動向、地政学リスクの高まり等による原料の調達環境の変化にも対応できるよう、原料および原料油脂ともに生産国やサプライヤーの複線化により、安定的な調達に努めております。
特に調達環境の動向が見通しにくい状況下においては、期先までの需要を見据えた調達、在庫確保に努めております。
なお、安全性が確保された原材料を調達するため、新規の産地・サプライヤーの原材料購買を行う場合には分析や現地視察などによる安全性評価を実施するとともに、既存の購買原材料についても定期的な安全性評価の実施や、原料産地の情報収集を行うことで、安全・安心な原材料の確保に努めております。
近年の消費者ニーズの変化は非常に早く、かつ多様化しており当社グループが認識する前に消費者のニーズが変化する可能性があります。また、認識しても対応できない可能性があり、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
消費者ニーズの変化については、生活者へのアンケート調査や定期的な市場概況の分析及びそれらの社内共有等により、早期に把握する体制を整えております。2025年度については、物価高騰による生活防衛意識の高まりや、調理時に使用する食用油の量の変化など、消費マインドの変化を捉えながら製品開発を行いました。(例:日清キャノーラ油ハーフユース800g)
また、中食外食で提供される調理品の品質向上や、最終商品の食体験向上に向けて、炊飯や調味をサポートする専用商品の開発にも取り組みました。
地球温暖化対策や海洋プラスチックごみ問題などが今日的な課題として注目を浴びており、これらの課題に対応できない場合、当社グループへの信頼や業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
植物資源を事業のベースとする当社グループにとって、地球環境や資源の保護は事業の持続性そのものと考え、脱炭素社会、循環型社会の実現に向けて以下の取り組みを行いました。
当社グループでは、油脂事業および加工食品・素材事業における原材料である大豆、菜種、カカオ等は全量海外から輸入しております。また、マレーシアをはじめ東南アジア、欧州等において海外事業展開を行っております。このため、当社グループは原材料コストや外貨建てでの販売、外貨での借入金残高などにかかる為替変動リスクを有しており、為替相場の変動により業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
原材料においては、原材料国際価格の相場変動リスクに加え、原油価格高騰などに伴う輸送コスト等の変動リスクを有しております。原材料価格は当社グループのコストにとって重要な部分を占めることから、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼします。
当社グループでは、「デリバティブ・商品先物取引等管理規程」等の規定に則った為替予約、先物市場を利用したヘッジ取引を機動的に行うことで当該リスクに対応しています。なお、ヘッジ取引の実施状況については、当社執行役員会にて四半期に一度、情報の共有化とモニタリングを実施しております。
さらに原料価格に見合った販売価格の適正化、製造費等のコスト削減などを実施することにより価格変動による影響の抑制を図っております。
特に油脂事業の販売におきましては、国内外の製品市況の変動による影響があります。油脂およびミール製品の国内販売価格は国際市況に概ね連動いたします。
また、海外からの製品輸入動向が国内販売価格への影響要因となる可能性もあります。これら国内外の製品市況の変動が顕在化した場合には、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼします。
当社グループでは、国内外の製品市況の変動に応じてコスト等に見合う適正価格での販売に努めております。
また、高付加価値商品の拡販に取り組み、徐々にその構成比を上げています。売上原価と販売価格の変動にタイムラグが生じる等の場合もありますが、当該リスクの業績への影響の低減に努めております。
当社執行役員会では、毎月、経営計画の進捗管理を行っており、必要な施策の実施につなげております。