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将来にわたって持続的に成長するために

 昨今、地球規模では環境問題などの多くの社会課題が累積しており、国内では急速な少子化と高齢化、それに伴う本格的な人口減少など、既に大きな変化が始まっています。さらに、長期化するコロナ禍の影響や、ロシアのウクライナ侵攻など地政学的なリスクも顕在化し、社会の不確実性は益々高まっています。このような状況において、持続可能な社会「サステナビリティ」の実現に貢献していくことは、企業市民として重要な責務であると強く認識しています。また、創業以来、私たちは大豆や菜種、パームなどの植物資源を原料とした事業を展開してきており、私たちの価値創造の源泉は“植物のチカラ®”です。そのため、次世代のために植物が育ち、健やかに暮らせる未来を残すことは、当社グループが将来にわたって持続的な成長を遂げていくためにも不可欠であり、気候変動をはじめとする地球環境の変化や、持続可能性に配慮しない原料を扱うことは、事業の存続を揺るがすリスクにもなるとの認識を持っています。

2030年に目指す姿の実現に向けて

 「サステナビリティ」の実現に向けては、そのための活動を企業の経済活動の外付けとして行うのではなく、企業の存在意義や目的と合致させ、経営に取り込むことが当社グループの持続的な成長を実現する上での核心になると考えています。そのため、2021年度より課題解決を通じた、社会との多様な共有価値の創造(CSV)を成長のドライバーとする長期ビジョン「日清オイリオグループビジョン2030(以下、ビジョン2030)」をスタートし、当社グループの目指す姿として、“植物のチカラ®”と“油脂をさらに究めた強み”で、食の新たな機能を生み出すプラットフォームの役割を担い、多様な価値を創造し、これを“生きるエネルギー”としてすべての人に届ける企業グループになることを掲げました。

 この目指す姿の実現に向け、「ビジョン2030」では、「すべての人の健康」、「おいしさ、美のある豊かな生活」、「地球環境」、「食のバリューチェーンへの貢献」、「信頼でつながるサプライチェーン」、「人材マネジメント」を6つの重点領域(マテリアリティ)と定め、それぞれの重点領域で目標(CSV目標)を掲げています。

目標を達成するための具体的な取り組み

 各重点領域での具体的な取り組みの例を挙げると、例えば、「すべての人の健康」では、当社グループの脂質栄養に関する知見を活かして、様々な健康課題の解決に資する商品の開発に注力しています。さらに、脂質の健康情報をストーリー化することで、生活者にわかりやすくお伝えする取り組みを推進しています。
「地球環境」では、温室効果ガスの削減に向けては、Scope1、2の目標達成へ先行的に投資をしていきます。Scope3についてはサプライチェーンでの目標達成への賛同の輪を広げ、共に行動をしてもらえる関係性を強固にしながら、並行してビジネスを深化させていきます。さらに、プラスチック問題の解決に向けて、再生ペット樹脂やバイオマスポリ導入など、環境負荷低減を念頭においた商品設計を進めていくとともに、食用油プラスチック容器のリサイクルの仕組みを構築することを目指し、自治体や関連団体、関連企業の皆さまと連携した取り組みを進めていきます。また、「信頼でつながるサプライチェーン」では、例えばパームの原料調達について、NDPE(No Deforestation, No Peat and No Exploitation:森林破壊ゼロ、泥炭地における新規開発ゼロ、先住民、労働者への搾取ゼロ)を実現するために、サプライチェーンのトレーサビリティを確保し、外部からも信頼される仕組みとして常にアップデートしていきます。

「今できること」だけではなく「今、できなくてもやるべきこと」の視点で

 このように、「サステナビリティ」実現の取り組みは、現状の延長線で実現できるものではありません。「今できること」だけではなく「今、できなくてもやるべきこと」の視点で常に物事を考え、国内外のステークホルダーの皆さまと協働しながら挑戦してまいりたいと考えています。
 今後とも一層のご支援、ご指導を賜りますようお願い申し上げます。

日清オイリオグループ株式会社
代表取締役社長