取締役会の実効性についての分析・評価

当社では取締役会の実効性を担保し、向上させるため、毎年、各取締役・監査役による取締役会の実効性評価を実施しております。アンケートによる自己評価や意見聴取などを実施し、取締役会で審議したうえでその結果を開示しております。
このたび、2024年度の取締役会の実効性評価を実施し、その結果を取締役会において報告・審議いたしました。概要は以下の通りです。

1. 実効性向上に向けた2024年度取締役会の取り組み

前年度(2023年度)の評価結果を踏まえて、次の取り組みを行うことにより、実効性のさらなる改善を図りました。

(1)「重要な経営課題に関する議論の深化」

経営における重要なテーマについて、取締役会で重点的に審議するとともに、オフサイトミーティングを行い、取締役会メンバー全員が出席の上、終日、活発な意見交換を行いました。

〔2024年度のオフサイトミーティングのテーマ〕
  • 油脂ソリューションを実現する技術戦略について
  • 油脂ソリューションの更なる拡張の方向性について(機能性油剤の市場性と戦略)
  • 2030年以降を見据えたチョコレート用油脂関連事業案
  • ホームユース事業が中長期で目指すべき方向性
  • 2030年を見据えたウェルネス食品事業の成長へ向けて
  • デジタルイノベーション戦略について
  • 次期中期経営計画の策定に向けて
〔取締役会の主な審議事項〕
  • ROICを起点としたマネジメントについて
  • 今後50年を見据えた生産体制の再構築について(3回)
  • 次期中期経営計画について(人材戦略含む)(3回)
  • パーム油事業グランドデザインと精製領域以降の生産プロセス再構築について

(2)「取締役会におけるモニタリング機能のさらなる強化」

取締役会のモニタリング機能を強化するため、以下のような取り組みをしました。

  • 取締役会の審議委員会である「経営サステナビリティ委員会」において、広義のサステナビリティ課題に対する議論を実施
    (主なテーマ)
    • 機会とリスクの重点領域化(重要リスクの特定)
    • 次期中期経営計画、新たなCSV目標について(複数回審議)
    • 脱炭素化を推進する戦略ロードマップについて
    • 新たなサステナビリティ開示への対応について
    • 戦略的IRについて
  • オフサイトミーティングで形成された課題、中長期的な価値創造の方向性を踏まえた次期中期経営計画の策定検討

2. 2024年度取締役会実効性評価の実施内容

当社では、2024年度の取締役会の実効性評価を、客観性を担保するために外部機関のサポートを受け、取締役会を構成する取締役・監査役(全13名)を対象に、以下の内容について、アンケート形式での調査を実施しました。

  1. ① 取締役会の構成
  2. ② 取締役会の運営
  3. ③ 取締役会の議論
  4. ④ 取締役会のモニタリング機能
  5. ⑤ 社内取締役のパフォーマンス
  6. ⑥ 社外取締役のパフォーマンス
  7. ⑦ 取締役・監査役に対する支援体制
  8. ⑧ トレーニング
  9. ⑨ 株主(投資家)との対話
  10. ⑩ 自身の取り組み
  11. ⑪ 総括

調査結果を踏まえ、代表取締役社長と社外役員全員との議論を行ったうえで、取締役会にて議論を行い、最終的な評価を行いました。

3. 評価結果

今回の評価結果を通じ、当社の取締役会の実効性については、おおむね確保されていると判断しました。2021年度以降、評価のスコアは上昇しており、取締役会の実効性向上に向けた改善策がスコアの上昇につながっているものと判断しております。
今年度も引き続き、調査結果で評価が高かった項目と、改善余地のある項目から抽出した重点的に審議・対応すべき課題を以下の通り整理し、対策を講じていきます。

(1)評価の高い項目

  • 中長期的な企業価値の創出のために、ESGへの対応やSDGsへの取り組みにおいて、リスクと機会の観点から会社の取るべき行動を特定し、適切に経営戦略に反映できている点
  • 社外取締役は、株主からの付託を受けて、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図る観点から経営を監督する役割を自覚し、その役割を十分に果たせている点
  • 総じて、取締役会が実効的に機能している点

(2)改善余地のある項目から抽出した2025年度に重点的に審議・対応すべき課題

  • PBR向上に向けたマネジメント体制
  • 持続的成長に資する人材戦略・マネジメント体制
  • グループ全体の事業ポートフォリオの方針決定と定期的な見直しの実施
  • グループガバナンス、グループ会社に対する内部統制システムの強化に向けた管理・監督体制の見直し
  • 事業環境の急激な変化、不確実性の高まり等を踏まえた、グループ全体における潜在的なリスクとその対処方法、危機管理体制

4. さらなる実効性向上に向けた取り組み

さらなる実効性の向上に向け、調査結果から抽出した重点的に審議・対応すべき課題を中心に一層議論を深め、必要な対応を図っていきます。加えて、グローバルトップレベルの油脂ソリューション企業への飛躍に向けて、成長を阻害する課題や内外の環境変化にしっかりと向き合い、対応・解決することで、Value UpXで目指す姿を達成してまいります。
一方、2025年度においても、取締役会メンバーによるオフサイトミーティングを継続し、経営課題の集中審議を行うとともに、社内・社外役員間の意思疎通の深化を図り、取締役会の実効性を継続的に向上してまいります。
また、コーポレート・ガバナンスの強化を重要な経営課題と認識し、その強化のため、株主・投資家の皆様とのエンゲージメントを積極的に推進してまいります。