独自研究

中鎖脂肪酸と運動 〜持久的な運動能力向上効果〜

●スポーツ栄養の分野で

中鎖脂肪酸は、ココナッツやパームに含まれている天然の植物成分で、母乳や牛乳などにも含まれている脂肪酸です。日清オイリオは中鎖脂肪酸の研究に長年取り組み、その栄養特性、調理特性などについて研究を進めてきました。
近年、スポーツ栄養の分野での研究を進め、ヒト臨床試験によって、継続的な中鎖脂肪酸の摂取が持久的運動能力を向上させる可能性を確認しました。

●ヒト試験で実証

運動愛好者8名を対象に、普段と食事量・食事内容を変えずに、1日6gの中鎖脂肪酸(MCT)または長鎖脂肪酸(LCT)を毎日摂取させ、2週間後に自転車エルゴメーターによる運動試験を行いました。
その結果、中鎖脂肪酸の摂取により、中強度運動における血中乳酸濃度の有意な低下、高強度運動における疲労困ぱいまでの運動持続時間の有意な延長が認められました。(出典:N.Nosaka et al. JNSV (55) 120-125 2009)

試験食摂取期間(2週間)

中鎖脂肪酸(MCT)または長鎖脂肪酸(LCT)入りのクッキーを毎日摂取。
1日のMCTまたはLCTの摂取量は6g。
被験者は運動愛好家8名、クロスオーバー試験※1を実施。

※1 クロスオーバー試験・・・同一被験者に試験食と対照食を、時期をずらして摂取させ試験を行い、それぞれの結果を集計し評価する試験方法。

運動試験 当日

自転車 エルゴメーター試験
試験の様子
中強度運動 開始から20分後の血中乳酸濃度

中鎖脂肪酸(MCT)の方が、血中乳酸濃度が有意に低値⇒疲労しにくい!

高強度運動 疲労困ぱいまでの時間

中鎖脂肪酸(MCT)の方が、約1.5倍の運動時間延長効果が認められた⇒持久的な運動能力up!

●運動時間延長のメカニズム

中強度の運動時は、一般的に「糖質」と「脂質」が約半々の割合でエネルギー源として使われ、高強度の運動時には糖質の消費量が増加します。また、糖質の消費量が増加すると、体内で乳酸が産生されます。
私たちの行った試験では、中鎖脂肪酸摂取群で中強度運動時の血中乳酸値が低値を示す結果となりました。これは、中鎖脂肪酸を継続摂取することで、体内での脂肪の利用が高まり、結果として糖質の消費量が減少したからと推測されます。そして、中強度運動時の糖質の消費が抑えられた分、高強度運動時に使用できる糖質の量が増え、運動持続時間が延長したと考えられます。